医療業界で進む労働環境改善の動き

日本の医療現場は、慢性的な人手不足状態に陥っている。人手不足の原因として挙げられるのが、多忙であることだ。実際に医療現場では、過酷な労働環境が問題視されている。日本では、企業や団体に所属して働いているならば、労働基準法のルールが適用されることになる。それは医療機関も例外ではない。労働基準法とは、簡単に言えば、過酷な労働環境から労働者を守るためにある法律だ。これに違反すると、雇用している側の法人は、最悪の場合、経営者が逮捕されたり、罰則を科されることもある。実は、医療業界で当たり前とされていることにも労働基準法に触れているケースがある。それだけ医療現場の労働環境は過酷なのだ。これまで病院は医療職の自己犠牲によって支えられてきたと言っても過言ではない。限られた人員で多くの患者を治療するため、毎日の残業が当たり前になっている。

各病院においては、特に看護師の離職を防ぎ人手不足を解消することが急務とされている。日本で推進されている働き方改革は、医療現場でも適用が始まった。働き方改革により、時間外労働の上限が規制されれば、看護師の行き過ぎた長時間勤務に歯止めをかけることができるだろう。そうするためには、常態化している残業を減らす必要が出てくるため、これまで以上に仕事の効率化が求められることになる。実際、さまざまな病院で日々のルーティン作業を見直したり、ICT化を進めたりと、あらゆる策が講じられている。直接、患者に関わる業務を削ることはできないため、無駄な記録をやめる、無駄な業務を省くなどの間接業務の見直しを図ることが求められるだろう。